和暦 丙午

海馬 ウミウマとはタツノオトシゴの別名。漢名は海馬カイバ。タツノオトシゴ属の学名 Hippocampus はギリシャ神話に登場する上半身が馬、下半身が魚の幻獣ヒッポカンポス hippocampus に因む。hippoはhorse、campus は bend, turn, curve といった意味で、ヒッポカンポスで曲がった馬となる。古代の地中海沿岸の人々はタツノオトシゴの成体がヒッポカンポスであると信じていたので、現代のギリシャ語やイタリア語でもタツノオトシゴはヒッポカンポスという。また、タツノオトシゴ属の英名 seahorse もこの幻獣に因む。
 オスが妊娠する。メスは輸卵管をオスの育児嚢に差しこみ育児嚢の中に産卵、育児嚢には胎盤のようなものが形成され、孵化した胚はオスから栄養と酸素を受取り成長、病原体に対する免疫も与えられ、稚魚になるまで育てられてから、海中に放出(出産)される。オスの妊娠中、メスは近くで生活し毎日挨拶を交わす。妊娠期間はメスが次の卵を用意する期間に重なるため、オスは出産するやいなやメスに産卵されることがある。効率的に繁殖できるので、繁殖期間中のペアを変えないと云われている。
 長い尾部に尾鰭はなく、小型樹上動物の尻尾のようにくるくる曲げて物を掴むことができるので、海藻に掴まり、海流に流されることなく同じ場所にとどまれる。目はカメレオンのように左右の別々に動かすことができる。また、タツノオトシゴも擬態の名人で、周囲の色に合わせて体色を変え、種によっては体の表面の凸凹をも変化させる。
 胃がないため、大量の食糧が必要。小型の甲殻類などを狩るが、視野の広さと、擬態、さらに1000分の6秒の速さで吸い込むことができる口吻により、狩の成功率は9割とも云われている。
 世界の海に棲息し、成魚で2cm以下から30cm超まで、50種が知られている。大型種のオオウミウマを乾燥させた生薬は海馬(カイバorカイマ)といい、滋養、強壮、補腎の効果があるとのこと。
 脳にも海馬カイバはいる。英名はタツノオトシゴ属の学名と同じ hippocampus。大脳の表面からは見えない辺縁系の一部で、特徴的な層構造を持ち、形状がタツノオトシゴに似た、記憶や空間認識能力に関わる器官である。アルツハイマー病における最初の病変部位としても知られ、海馬の萎縮度合は診断基準となっており、認知症の早期発見にも寄与している。

海王星とヒッボカンポス

 神話では、ヒッポカムポスは古い海神のネレートスの娘たちネレーダスの乗り物であり、あるいは、ボセイドン(ローマ神話でのネプトゥース)の2頭立または4頭立のチャリオット(戦車)を引く幻獣である。
 太陽系の第8惑星海王星(Neptune)は海神ネプトゥーヌスに因んで名付けられた。なので、海王星の衛星には海や川の神の名がつけられている。第2衛星はネレーダスに因み、ネレイド。ネレーダスは50人とも100人ともいわれる姉妹たちの総称で、 第6衛星ガラテア、第9衛星ハリメデ、第10衛星プサマテ、第11衛星サオ、第12衛星ラオメディア、第13衛星ネソはネレーダスの個々の名に因んで名づけられた。
 2013年に発見された第14衛星Neptune XIV が2019年にヒッポカンプ(Hippocamp)と命名された。ヒッポカムポスに因んだものだが、発見者がタツノオトシゴ好きだったかららしい。

参考サイト

魚らしからぬ魚 | 株式会社バイオーム

オスが妊娠するタツノオトシゴ | 株式会社バイオーム

タツノオトシゴの育児嚢の形成メカニズム | 上智大学 川口眞理准教授

海馬と認知症は深く関係している? │ 健達ねっと

4世紀に作られたヒッポカムポスが引く戦車に乗っている海神ネプチューンのモザイク画
ティムガッド考古学博物館所蔵 (PHOTOGRAPH BY DEA/ALBUM)

Hippocamps (Hippokampoi) | THEOI GREEK MYTHOLOGY

Hippocampe | WIKIPEDIA (Italiano.)

WIKIPEDIA

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