海牛とウミウシ
海牛とは海牛目(カイギュウモク)の哺乳類の総称。マナティー科にアマゾンマナティー、アメリカマナティー、アフリカマナティーの3種、ジュゴン科にジュゴンの1種が現生する。体長は2.5メートル乃至4メートルといわれているが、1741年にベーリング海で発見されたものの僅か27年でハンターの乱獲により絶滅したステラーカイギュウ(ジュゴン科)は体長が7メートル以上にもなったという。
ウミウシと訓読すると海生の軟体動物。軟体動物門腹足綱の後鰓類で貝殻がない種の総称となる。体長数ミリから大きくても30センチに達しないが、世界中の海に3000種以上が生息する。このホルスタイン模様をもつモウサンウミウシも体長15ミリ程度しかない。腰のあたりのヒラヒラは二次鰓といい、本来の鰓を失っていることとあわせウミウシを特徴づける器官である。
江戸時代中期に刊行された和漢三才図会では魚類のウミスズメの漢語として海牛を附している。ウミスズメはフグ目ハコフグ科の海水魚であり眼の前方に角のような一対の棘をもっている。カタツムリも蝸牛と書くように2本の突起が牛を連想させるのだろう。
ちなみに妖怪界にも海牛はいる。大隅半島の鹿児島湾沿いの村では「ウンムシ(海牛)」という黒い牛の化け物が海から這い上がり徘徊するそうな。
参考資料
ウミウシ図鑑 https://se3blue-mountain.com/mousanumiushi/
生き物図鑑 ウミウシ https://eminamarine-diving.net/archives/creature/モウサンウミウシ
和漢三才図会(中之巻) 国立国会図書館デジタルコレクション
心朽窩旧館 和漢三才圖會 卷第五十一 魚類 江海無鱗魚
広辞苑第六版
ウィキペディア(Wikipedia)
後記
2004年から十二支または十二生肖に因んだ漢字を年賀状に選び、2006年からは解字も入れていたが、2020年からは十二生肖に因んだ海の生物に関する話題とした。ウミウシを画像検索したところ見た目もウシなウミウシがみつかった。生物名のモウサンウミウシは牛に因んだものらしい。
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